今週の一冊 「日本の七十二候を楽しむ ―旧暦のある暮らし―」
やさしい彩づかいのイラストと、
こまやかな変化を感じさせる季節の描写に心が和みます。
七十二候(ひちじゅうにこう)とは、中国古来の季節をあらわす方式のようですが、
ここでは日本風にアレンジしてあります。
たとえば、この時期(2月24日~28日ごろ)は、七十二候では
「霞始めてたなびく(かすみはじめてたなびく)」
春霞がたなびき、山野の情景に趣が加わるころ。
遠くかすかな眺めが、ほのかに現れては消える移ろいの季節。
ちなみに、二十四節気(立春からはじまり、春分、夏至、秋分、冬至の四つの時期からなる古代中国の暦)でいうと「雨水(うすい)」にあたります。
「雨水」とは、降る雪が雨へと変わり、氷が解け出すころのこと。
昔からこの季節は農耕の準備をはじめる目安とされていました。
その他七十二候では、
「東風凍りを解く(とうふうこおりをとく)」
「桃始めて笑う(ももはじめてわらう)」
「菜虫蝶と化す(なむしちょうとかす)」
など、季節折々のできごとが、そのまま候の名前になっています。
一年を七十二もの候にわけ、季節の移ろいをこまやかに楽しむ。
大好きな日本の季節が、
ますます愛すべきものに感じられるようになりました。
小さな幸せに毎日が楽しくなる一冊です。